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秋月さやかの月と星の占いメッセージ

魔術としての占星術について(前編)

「占いって、してもしなくても、運命は変わらないんでしょう?じゃあ、占いなんてしてもしょうがないですよね。」知人の編集者にそう言われたことがあります。世の中にはそのように考えている人も多いのかも知れません。ですが、私はそう思っていません。占いこそ運命を変える基本、それが私の考えです。
 
 「運命は変わらない…」そもそも、その部分の認識が問題です。未来は不確定。変わるも変わらないも、まだない未来を変えることなど、できようがないともいえるからです。
 明日のあなたの行動をすでに記録したDVDがあり、明日、あなたは寸分たがわずに、そのDVDに記録されているとおりの言動をとる…と思っている人は、SF映画の見すぎ。
「じゃあ、明日の予言はできないっていうこと?」そうですね、できません。
「ということは…明日、私が何を食べるのかもわからない?」はい、わかりません。…というか、「あなたはいったい何を食べたいの?」と、私は、思わず笑いながら逆質問してしまいました。
「明日、何が何でも×××を食べる!」と決めている人の心をテレパシーで覗くことができれば、それはわかるのでしょう。が、残念ながら私はテレパシー能力を保有していません。さらには、仮に保有していたとしても、あまり意味はないでしょう。明日になれば、本人の気分が変わるかも知れませんからね。
「×××ではなく、△△△が食べたくなる!」と、その人の意思を変えさせることができれば、話は違ってくるのかも知れませんが。といっても、もしもそれができるとしたら、それは占いではなく、スピリチュアル洗脳。だいたい、明日の昼ゴハンを牛丼からソバに変更させたとしても、それがいったい…。あ!いや、もしもそれができたら、それはたしかにすごいかも、ですけどね。というより、そんなものが存在するとしたら、それは危険極まりない力でしょう、かなり困ったことに(笑)。
 
「やっぱり占いじゃダメなのよ。運命を変えたいなら魔術!」思い詰めたように彼女はそう言い放ちました。前述の知人編集者です。あのね、占いも魔術なんだけど。と私。
「ええ〜?」とびっくりする彼女。そう。占術、魔術。この2つは、同じ根本から派生した姉妹で、しかもその役割は、運命を司ることにあります。もうひとつ、宗教が加わって3姉妹となるのですが。
 支配者が認めた宗教以外に属する知識や思想は、異端として魔術になりますが、宗教が認めたものは、魔術とは呼ばれない場合もあります。占いは、占いを禁じている宗教にあっては魔術に分類されます。が、特に禁じていない宗教にあっては、どちらでもなかったり、都合により神託になったりすることもある、まあ、そういうもの。
「でも、…占いって、魔法陣とかハーブとか使わないじゃないですか?」
 ああ、使うツールの話? 占いだって、ツールを使いますよ。占星術でいえば、昔は六分儀、今じゃエフェメリス。タロットはカード、ルーンは木の枝、易はコイン、下駄占いは下駄をツールとして使うようにね。
 
 一般的に(魔方陣の中に入って精霊を召還したり、ハーブを燃やしながら呪文を唱えるような)魔術はアクティブに運勢を変えて願望を達成するために使われるというイメージがあるようです。それに対し、占いは、結果を出し、その結果を甘んじて受けいれるだけの消極派というイメージがあるようなのですが…。それははっきりと間違っています。
 
 魔術というのは、変容させる力です。そういう意味ではアクティブでしょう。占術というのは、運勢の流れを読み取る感覚です。じっと耳を澄まし、見つめる。一見、動きは少ないように見えますが、ただ黙って読み取っているだけではありません。
 
 占術の中でも、占星術や暦占が扱うもの、それは時。運勢には時があります。準備すべき時、選択すべき時、動く時…。種から発した芽は、一夜にして木になるのではありません。卵が雛に孵るのにも時が必要。時の力に従って、運勢を操作するのが占星術なのですから…それはすでにして時を操る魔術。決して消極的というわけはないでしょう。ただし、占星術では、時を進めたり、戻したりすることはできませんから、待つべき時には待つ必要があります。待つ、ということを消極的と考える人たちは、往々にして占星術を過小評価しがちなようです。
 
 魔術は、ツールとして、物(あるいは動作や言葉)を使用します。が、その魔術にしても、時を選ぶ場合も多いのです。ですから、占星術や暦占を知らない魔術師(呪術師)というのは皆無でしょう。多少、時を早めたり、遅らせる魔術はありますが、正確に言うと、それは時間を操作するのではなく、出会いのタイミングや、思念の動きを操作するだけのものです。
 
 さて、ダイエットの話をしましょう。ダイエットの話〜?なにそれ、と思った方もいるかも知れませんね。でも、体重の増減をコントロールする。これはすでにして魔術なのです。魔術って、そういうもの。そして、ダイエットにはいろいろな方法があります。魔術にもいろいろあるように。
 
 最も効果のあるダイエット方法として、私は体重計(100g単位で量れるもの)と記録用紙をお勧めします。話題になった方法なのですでにご存知の方も多いでしょうが、毎日、体重と、口に入れたものを記録するだけ。カロリー計算? まあ、しないよりしたほうがいいですが、そんなに正確でなくてもかまいません。面倒なことは長続きしないものです。高カロリーのものと低カロリーのものの違いぐらいがわかっていれば充分。それでダイエットできるの?はい、できますね。
 
 ダイエットには、まず認識が必要です。それは体重を量ること。体重だけがすべてではないので、鏡の前に立ってみることも必要でしょうか。
 つまり、現状を把握する。昨日より減ったのか、増えたのか、変わらないのか。その変化こそが運勢の変化です。そして口に入れたものを全部書き出す。考えたこと、出会ったことをチェックし、それが自分に与えている影響を知る。
 認識の段階で「なんとかしなきゃ」となれば、過食をセーブしよう、少しは体も動かそうと考えるのが自然な流れ。つまり、認識した時点で、意識はすでにコントロールに向かっています。何をすべきか、おのずと自分自身が気づいているのです。いってみれば、その時点から、魔術の第一歩が始まっていると私は思うのですけどね。
 
 即効性のあるダイエット方法というのは、過激な魔術と同じです。効き目は強力ですが、副作用がありすぎるのです。リバウンドも怖い。いずれにしろ、魔術は、つねに副作用に気をつけながら行う必要があります。
 しかし、副作用のない(あるいはきわめて少ない)魔術に属しているのが、占星術なのです。占星術なら、今の状態を認識し、そして、運勢的にはどんな時期なのかを知る。ただそれだけです。しかしながら、それはただ黙って運勢にしたがっているだけではありません。今、できることを考え、やるべきことをやる。その構造は、ダイエットと同じなのです。
 減らしたいのか、増やしたいのか、維持したいのか。体重を決定するのは、食事カロリーと運動なのですから、何をすべきかはわかるはず。それがダイエットだろうが恋魔術だろうが、なるべく副作用の少ないものを選んだほうがいいのはいうまでもありません。
 
 目的がはっきりしていなければ魔術は行えません。そして、行う魔術を選ぶには、その時の状況を知る必要があります。運勢が低調だとしたら、低調な時には低調な時にふさわしい過ごし方と、やるべきことがあるはずです。そして、運勢は変化します。ずっと低調なままの運勢というのはありえません。下がったものはいずれ上がる。上がったものはいずれ下がる。いつ忍耐するべきかがわかれば、いつ活動すればいいのかもおのずとわかるはずです。時を読む魔術、それが占星術だと思えばわかりやすいでしょう。

占術研究家 秋月さやか


※ この記事は、筆者秋月さやか公式サイト内の記事を元に作成しています。
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