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秋月さやかの月と星の占いメッセージ

魔術としての占星術について(後編)

 知人の編集者、彼女は吉方位に引越ししたい、と言います。しかしながら、土星の時期が悪いので、引越しには適さないという私の占断に、ショックを受けたのだそうです。「なぜ引越しはダメなんですか?」彼女は口を尖らせます。
 
(その吉方位というのは、東洋系の占断結果。恋人が欲しいなら、吉方位に引越ししなさい、と言われたそうな。じゃあ、そこで引越しの日時を聞けばいいんじゃないかと、正直なところ私は思いましたが…。東洋も西洋もぐちゃぐちゃ。和洋折衷メニューは、私はあまり好きではありません。天丼の後には、やっぱり羊羹と濃い緑茶だって!)
 
 とにかく、動くべき時に動き、動いてはいけない時には動かない。それこそが占星魔術なのです。ダイエットだって、痩せやすい時期を選んでやったほうが効果があがるのはいうまでもないことです。効果のあがりにくい時にわざわざ行っても、失敗しやすいというリスクがあるのです。だいたい、準備もなしに動いても、運勢を変えることなどできません。それに、変えるだけが魔術ではありません。変えないこともまた魔術なのですが…。
 
「絶対ダメっていうわけじゃないんだけど…」と、私。
 彼女は、この際、人生をリセットしたい!と言います。まったく知らない場所に行って、新しい恋を始めたいのだそうです。
「う〜ん。それは…。」土星が低調な時期に、まったく知らない場所というのは…私に言わせれば無謀です。できないわけではありませんが、副作用が大きすぎるのです。効果と弊害。この2つのバランスは常に考えるべきです。
「占いなんて、ちっとも運勢を変えてくれないし…。」と、彼女はだんだん愚痴モードになっていきます。目元もちょっと潤んでいる。やれやれ。締め切り迫る、夜も更けた。このまま話につきあっていても結論が出そうにありません。
「恋人いない歴5年間…。もう一生、恋人なんてできないかも…」と、彼女は暗い顔。引越ししてでも新たな出会いを呼び込みたい、という気持ちになるのも無理からぬことではありますが…。
 
 かといって、「ああ、いいんじゃないの。」などと、占法根拠に欠けた無責任な答えもできないのが私の立場です。お金をとって有料鑑定しているわけではないとはいえ、いちおう私にも占術家のプライドがあるので。
 とはいうものの、私は、じっと家に閉じこもって息を潜めていなさい、と言っているわけではないのです。よく考えてからにしましょう、そしていつも以上に慎重に。と言っているだけなのですが…。
 ちょっとでも制止されると、もうそれだけで自分がやろうとしていることを否定されているような気分になってしまう。運勢が低下している時には、ささいな言葉にも傷つきやすくなっています。誰でも、そういう脆さや弱さが出てくる、それが運勢低長期の特徴でもあり、文字通り、腫れ物に触るように丁重に扱う必要があります。ああ、運勢がいい時に相談してくれたなら、どんなにか楽なことでしょう。「うんうん。大丈夫。それ行ってみよう〜!!!」と、エクストクラメイションマーク3本で済みますからね。
 
 しかしながら、「しばらく動かないほうがいい」という占いアドバイスを受けた人が、そのまま黙って引きこもりになったというようなケースを、私はただの一度も見たことがありません。いろいろと葛藤はあるでしょうが、(どうせダメならしかたないと開き直ったり、「占いなんてもう信じないからっ!」とえらい剣幕になったり、う〜ん、と考え込んでしまったり)、でも、いずれは本人が納得する回答へとたどり着くのです。まあ、運勢を信じても信じなくても、それはかまわないのです。結果的に、その人が運勢を望む方向に変える決意ができれば、それでいいのではないでしょうか。
 
 たしかに、占いは、あなたの運勢を変えてくれたりはしませんよね。なぜなら、占いが運勢を変えるのではありません。占いは、運勢の変化を読み取るだけのテクニックなのです。そういう意味では、「イマ、アナタハ、ウンガワルイデス、センダンオワリ。」というような印象は否めません。
 しかし、実はそこで終わりではないのです。運勢を変えると決めるのはあなた自身。そして、変えるという決断も、変えないという決断も、同じようにあなたの運勢に作用します。つまり、変える!(あるいは変えない!)という意思を認識すること、それこそが魔術の基本。とにかく、認識にあたり、今、どんな状況なのか、(運がいいのか悪いのか)をはっきりと提示してくれるのが占いなのです。現状を把握しなければ、今後の対策も立たないわけですから。
 
 さて、彼女からはその後、しばらく連絡がありませんでした。占いの結果を気にしているんだろうか?と、私もまた気になっていました。いっそ、引越しのための魔術を教えてあげたほうがいいかも…と、私が考え始めていた矢先のことです。
「ねえ、引越しちゃダメな時期でも、引越しすることのできる魔術ってあるんですよね?」と、彼女から電話。そらきた、と思いました。が、詳しく話を聞いていくと、意外な事実が…。
 
 あの後、彼女は一度は引越しを決意。いっそ、夜景の綺麗な高層マンションへ!と考えたそう。しかし、これが意外に高かった。階だけでなく、家賃が。稼がなきゃ引越しできない。だからとにかく仕事をとりまくった。結果的に、忙しくなり、引越しは難しくなってしまったといいます。引越しできない、このままでは恋人ができない、と焦った彼女は、せめて合コンでも、と考えた。そして、友人たちに「合コンあったら誘ってね」と連絡しまくり。へえ、彼女が合コンねえ、と私はびっくり。まあ、彼女なりに出会いのありそうな場に足を運ぼうと勇気を振り絞ったのでしょう。が、忙しい仕事のせいでそれもままならず。
 
 そんなある日のこと。「どうしてる?実は近くに引っ越してきたんだ。偶然だね。」と元カレから電話。なんと彼は、彼女の住まいから歩いて10分のマンションの一室から電話をしてきたといいます。仕事の都合で急に引っ越すことになった彼。ネットでさんざん調べたけれど、その沿線で適当な部屋は、一室しかなかった。ばたばたと手続きをして、ふと思い出した。そういえば元カノ、あいつ、この近くに引越ししたとかって風の噂で聞いたよな〜と。でもあれからもう5年。なんとなく気になった彼は、共通の友人に電話。その友人は「合コンあったら誘ってね」のメールで彼女の住所を知っていました。知らされた住所はなんとすぐ近所。合コンに誘ってと友人に連絡してきたぐらいなんだから、まだ独りなんだろう、と彼は勇気を出し…。その後の展開は、みなさんのご想像通り。
 
 結局、彼女が今まで住んでいたマンションはそのまま仕事部屋に、彼女は彼のマンションで一緒に暮らし始めるといいます。ああ、それって、引越しにはならないから大丈夫でしょ、と私は答えました。 「でも…もしかしてうまくいかなかったら嫌だから」と彼女。
 そこで私は、とっておきの秘法を教えてあげました。
 ベランダに、鉢植えか、石を置く。最低1ヶ月間。引越しの時に、この鉢植えか石を新住居に持っていく。庭がある場合には、庭の土を使う。鉢植えの土、あるいは石は、土星の巡りが良くなったら、元の場所に近いところに返す。この、返す、というのがポイントなんですが、これが案外難しい。そのため、おもに実家からの引越しなどにお勧めしている方法です。彼女の場合、仕事場のベランダに鉢植えをまだ移動すればいいだけだから、ちょうどいいや、と思ったのです。それにこれは、難しくもなく、副作用もなし。そのうえ効果絶大!
「それそれ、そういう魔術が聞きたかったの!」と、彼女は大感激。
 あ〜でもねえ、そもそも、引越しを延期したから、その彼に再会することができたのですよね? どうですか?占いはあなたの運勢を変えてくれなかったのかな? それとも変えてくれたのかな?

占術研究家 秋月さやか


※ この記事は、筆者秋月さやか公式サイト内の記事を元に作成しています。
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